腰椎椎間板ヘルニアとは
腰椎椎間板ヘルニアとは、脊椎の骨と骨の間にある「椎間板（ついかんばん）」という軟骨組織の中心部にある**髄核（ずいかく）が、外側の線維輪（せんいりん）**を破って外に飛び出し、神経や脊髄を圧迫してしまう状態を指します。
このように、髄核が線維輪を突き破ってしまった状態を「ヘルニア」と呼びます。
腰椎椎間板ヘルニアは、20〜40代の比較的若い世代に多く見られるのが特徴です。
ここでよく比較されるのが「脊柱管狭窄症（せきちゅうかんきょうさくしょう）」です。
脊柱管狭窄症が高齢者に多いのに対し、腰椎椎間板ヘルニアは若年層に多い傾向があります。
腰椎椎間板ヘルニアで最も大切なこと
このページをご覧いただいているあなたは、
「自分のヘルニアは本当に治るのだろうか？」
と感じているのではないでしょうか。
結論からお伝えすると、ほとんどの方が改善します。
その理由を、科学的な根拠をもとに説明します。
改善する根拠
日本整形外科学会がまとめた「腰椎椎間板ヘルニア診療ガイドライン（第3版）」によると、
保存療法（手術を行わない治療）を行った場合、
下位椎体の1/3以上に脱出した症例の84％でヘルニアの著明な吸収または消失が確認されています。
さらに、46％の症例では3ヶ月以内にヘルニアの吸収が観察されています。
別の505例を対象とした研究では、平均約1年の経過観察で96.2％の症例にヘルニアの吸収が認められ、
そのうち220例では50％以上の消失が確認されたという結果も出ています。
これらのデータは、多くの症例に基づいた統計的に信頼性の高い結果であり、
保存療法によってほとんどの方が改善する傾向があることを示しています。
海外の研究結果
アメリカの研究機関による報告でも、
腰椎椎間板ヘルニアの患者の約90％は手術が不要という結果が示されています。
また、他の研究では、保存療法（リハビリなど）を行った場合の90％以上が「良好」または「優秀」な改善結果を示したと報告されています。
まとめ
つまり、腰椎椎間板ヘルニアは「治らない病気」ではありません。
多くの方が時間の経過とともに自然吸収・回復の方向へ向かうことが分かっています。
焦らず、正しいリハビリや生活習慣の改善を続けることで、十分に改善が期待できるのです。
