日本の大規模な疫学調査である「ROAD study」では、X線画像で変形性膝関節症の所見が確認された方は約2,530万人にのぼると報告されています。
そのうち 約7割の人は変形があっても痛みがなく、残りの約3割が痛みを感じている という結果でした。
ここで重要なのは、**膝に変形があっても痛みがない方が多数派である(7割)**という事実です。
つまり、
「膝の変形=痛み」ではない可能性が高い と言えます。
さらに加齢に伴う変形の出現率を見ると、
50歳以上の日本人の約60%がX線上で膝関節症の兆候を持ち、70歳以上では約80%に何らかの変形が認められることが分かっています。
ただし、実際に症状があるのは そのうち約30%程度 に限られます。
では、なぜ膝は変形してしまうのか?
そして、どの部分が痛みに関係しているのか?
このポイントを明確にしない限り、根本的に痛みを改善することはできません。
ここから、膝の変形と痛みの関係についてさらに深掘りしながら、順を追って理解を深めていただきます。
■ 変形性膝関節症の主な症状
膝関節症の症状は少しずつ進行し、ステージによって特徴が異なります。
あなたの普段の生活で当てはまるものがないか確認しながら、現在どの段階にいるのかイメージしてみてください。
■ 初期段階の特徴
初期では明らかな変形は見られませんが、動作時の違和感が出始めます。
引っ掛かる感じ、力の入りにくさ、関節がしっくりこない感覚などが代表的です。
① どのような痛みが出るか?
特に多いのは “動き始めの痛み” です。
・朝起きた直後の歩き始め
・椅子から立ち上がる瞬間
・立位から歩き出すタイミング
動いていくうちに徐々に痛みが和らぐのが特徴的です。
また、運動したあとに鈍い痛みが続くのもよくみられます。
・長時間歩いたあと
・階段を使ったあと
・旅行やハイキングのあとに重だるさを感じる など
② 身体に起きる変化
初期では、膝周囲に 軽いむくみ(浮腫) や わずかな腫れ(腫脹) が出ることがあります。
膝の動きが少し悪くなり、曲げ伸ばしのスムーズさが低下する場合も。
「なんとなく膝に力が入りにくい」という感覚もこの時期に多い特徴です。
③ 日常生活で困る動き
・長く座ったあとに立ち上がる → パッと動き出せない、膝が痛む
・階段の上り下り → 特に降りる時に膝に不安感がある
・しゃがむ・正座 → 深く曲げる動作で違和感が出やすい
最後までお読みいただきありがとうございました。膝の痛みの理解が深まり、改善への第一歩になれば嬉しいです。








